死との向き合い方を考えさせられる、ゲーム「フィンチ家の奇妙な屋敷でおきたこと」レビュー【Steam】

「フィンチ家の奇妙な屋敷でおきたこと」レビュー 考察【Steam】

こんにちは、扁桃炎で苦しんでいるろびです。
とても苦しいです。

今回紹介するゲームは「フィンチ家の奇妙な屋敷でおきたこと」、原題「What Remains of Edith Finch」。
プレイしたのはちょっと前で、「死」を題材にしていてとても考えさせられるゲームなんですが、中々落とし所が難しく、未だにどう消化していいのか分からないでいます。
あ、作品自体は非常に良作で、見て回るところも多いので私は無駄に2周しました。

フィンチ家の奇妙な屋敷でおきたこと

呪われた一族の生き残りエディス・フィンチが生家に戻り、残された日記や手紙から一人ひとりの最期の時を追体験するゲーム。
ジャンルはウォーキングシュミレーター、設定や雰囲気からホラー系?と思いながらプレイしましたが、そんなに怖くないので怖がりな人でも問題なくプレイできるかと思います。

奇妙な家

邦題にある「奇妙な家」。見てもらえば分かるんですが、文字通り奇妙な造りの家です。
一族の誰かが死んだ時、フィンチ家ではその部屋を立ち入り禁止にして、家族が増えたら新しい部屋を増築していきます。
その結果家はどんどん歪に高くなっていき、不思議な建築物が完成。この部屋を全て探索できるとなると、わくわくしませんか?

 

字幕の出方が秀逸

音声は英語なんですが、ちゃんと日本語の字幕がでます。
で、その字幕の演出が良くて、家具や風景に沿って色んな角度で出現し、基本的にその方向に沿って進んでいけば物語を進められます。

追体験の仕方が全部違う

これはネタバレになっちゃうんであまり詳しくは言及しませんが、一人ひとりの最期の時の追体験は、多様な手法・デザイン・システムで行われます。
死因はそれぞれ異なるにしても似たような内容を何度もやって飽きる…みたいなことは無いですし、寧ろ次はどんな手法でくるんだろう、とワクワクしながら次へ次へと進めてしまいます。

 

考察というか、だらだら考えていたこと

これより下は、プレイ後私がだらだら考えていたこと、2周して気付いたことを書いていきます。
ネタバレというか、プレイした人しか分からない内容にがんがん触れて書いていくので、プレイ予定の方は終わってから読むのをおすすめします。

舞台はオーカス島

確かBarbaraの章で言っていたはず。アメリカのワシントン州の島。

原題「エディス・フィンチがのこした物」

Edithの曾祖母Edie、墓石にも”EDIE”となっているし、Edithが「Edith・Jr」と言及していることから、本名はEdith・Finchなんだろうと思います。
知る限り最も長生き、寧ろ大往生しているEdieにあやかる為この名前をつけたとも考えられます。

※追記:見にくいですが、”EDIE”の墓石の上の本に書かれているアルファベット「HUBKNITFDEC」
アナグラムで「EDITH FINCH」になります。UBKが残るけど、他に何か意味があるのかも…

となると原題の「エディス・フィンチがのこした物」は、そのまま17歳のEdith・Finchがお腹の子宛に残した日記と、曾祖母のEdieの作品の集大成とも言える家の2つの意味があるのかなと感じました。

作品としての家

このゲームをやって一番に思ったのは、「フィンチ家、家への執着半端ないな…」だったんですが。
不幸が続くからノルウェーから家ごと越してきて(でも沈没してるけど)、新しい家は家で墓とは別に死んだ人間の生活していた部屋をそのまま残し続け増築していくという執着ぶり。
木に肖像画を書いて、レースに享年を記し、部屋に飾ることがイーディなりの弔いの儀式だったんだろうと思うんですが、ある種作品としての家・部屋への執着も感じられて、殺人鬼Edie説も考えました。

Edieが犯人?

死が身近にあるのに、子供が住むにはどうなの?と首を傾げたくなる高所に増築されていく部屋。
何よりEdieだけめっちゃ長生きしてるし、穿った見方をしたらMollyは本当にご飯を与えられずEdieに部屋に閉じ込められたのかもしれないし、Calvinは死ぬ前の時点で左足にギプスをしていて一度同じことをしていたのだとしたら危険は察知できたはずだし。
とはいえ、全部が全部Edieに起因しているとしたらそれこそ魔法でも使えないと難しいものは多いけど。

未完成な作品

でもEdieの作品への執着・犯人説で考えると、Lewisの作品は未完成のままいなくなっているのが…

Edithが生まれた日のEdieの記述についても紛失してしまってるし、Edie本人も失踪という形で終わるせいで、どうしても色んな考察をしてしまうけど、これという落とし所が見つからずもやもやが残ります。

Barbaraの死んだ日

SamとCalvinはどこにいたんだろう?
Barbaraのストーリーは、想像で作られたコミックの中で語られるから、単純に作者が省いて描かなかっただけかもしれないけど、家の中をあそこまで詳細に再現しておきながらSamとCalvinについては全く触れられてないところが逆に不気味。

また追記するかも

本当にだらだらと書いてみただけだけど、また自分なりに考えが浮かんだら追記するかも。
今回はとりあえず以上にしておきます。

ろびおの考察はこちら↓
フィンチ家の奇妙な屋敷でおきたこと 考察【ネタバレ】モリー・バーバラ・エディスの死因など…『フィンチ家の奇妙な屋敷でおきたこと』【レビュー・考察】


What Remains of Edith Finch (Original Soundtrack)

5 COMMENTS

通りすがり

突然失礼します。
 edie殺人鬼説は、それが真実かどうかは別として、この話の伏線もしくは演出として製作者がはじめから匂わせてると思います。私もそう考えて、edithがそれを完成させて終わって線も考えました。つまり、ゲームの中で書かれていく家系図は、そのリストを完成させるためにやってきたみたいな裏読みもできるようにしてるんだと思います。そういった怪しさを匂わす本やオブジェなんかもあるんですよね。
完全に真っ黒によめるようなホラー的要素をわざと埋め込んで、想像を掻き立てるのが狙いかなと。

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Robi

>通りすがり様
コメントありがとうございます!
edie殺人鬼説は、確たる証拠が無いので深読みのしすぎかな…とも思っていたんですが、同じ考えの方がいて安心しました。edithとの繋がりをすっかり見落としていましたが、edithが子供に残した本でもって作品を完成させたとすると、edith誕生の日にedieは彼女が自分の後継者と確信を持って自分の名前を与えたとも考えられますね。
想像の余地が多くあるゲームなので、改めて色んな人の見解を聞いてみたいと思いました。

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思うに

「死ぬ側」ばかりが印象に残る本作ですが、
実は「死なれる側」が主体であることに気付かされます。
「フィンチ家の呪い」とは、実は「死ぬ者」でなく、「死なれる者」の内にあるのです。

家族を失う悲しみは、筆舌に尽くしがたいものです。
フィンチ家において、同じ悲しみを味わった二人の女性は、違った方法を試みます。
一人は、その「死」から逃げることを望みました。・・・家から出ることによって。
一人は、その「生」を残すことを望みました。・・・部屋を残すことによって。

近く「フィンチ家の最後の一人」がこの世に現れることを知ったイーディスが、
おそらくは一人残されるであろうその彼に、残した方法は後者でした。

あるいは、イーディスが、一度は家を離れたものの、再び家に戻ることにしたのは、
「死から逃げる」ことでは呪いから逃れられないことを、身をもって知ったからではないでしょうか。

こう言っちゃなんですが、17の身空で寄る辺なき子供を身籠るということ自体、家を離れてからの彼女の生活が、健全と言えるものではなかったことの証でしょう。

「どのように生き、どのように死んだとしても、かけがえのない家族の人生」

それこそが、奇しくも「二人のイーディス」が残したものであったのではないかと、思います。

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Robi

>思うに様
コメントありがとうございます!
「呪い」は「死なれる者」の内にある、とても考えさせられました。

家族を亡くした悲しみは、いつまでもその人の心に残って、私も今でも向き合うことが出来ない程です。
遺品整理は特に辛かったので、イーディーの部屋を残す行為は家族の死と向き合うことの拒絶のようにも思えるのに、
その死を記した物を飾っていることに矛盾を感じていました。

でもそれは、「どのように生き、どのように死んだとしても、かけがえのない家族の人生」を残すことで、
人の記憶からも死なせてしまわないよう、呪いに抗う手段だったのかもしれませんね。

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思うに

こんな亀レスにご返信、どうもありがとうございます。
こちらの「死との向き合い方を考えさせられる」というタイトルが、
最も本作をよく表しているのではないかと感じたため、つい書かせて頂きました。

いかにも「推理物」や「ミステリー」のような体裁を装いながら、
実はそのいずれでもない物語。

「理由を明らかにしなければ気が済まない」私たち日本人は、
まんまと物語の思う壺にはまってしまいました。

秀逸な作品だったと思います。

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